婚約指輪のこと 〜おまえじゃなきゃだめなんだ〜
結婚というのは、好き、とかいっしょにいたい、とかの
もっとずっと先にあるものなんじゃないか。
そのずっと先にあるものの正体を、じつはだれも知らなくって
知らないからこそ指輪や結納や式や新婚旅行なんかをするんじゃなかろうか。
ひょっとしたら、というか、確実に、
好きという気持ちは永遠じゃないんだ、と思う。
永遠だと信じたいけれど、でもきっとそれは変形したり、
黒ずんだり、傷ついたり、あるいは、ぽっかりとなくなってしまう種類のものだ。
だからこそ、自分は、好きだのその先にいきたいんだ。
永遠であってほしいと願っている正真正銘今の気持ちを、
変形しないうちに、形にしたかった。
角田光代「おまえじゃなきゃだめなんだ」
婚約指輪なんていらないとずっと思っていた
もったいないし、そのお金をもっと違う事に使った方が絶対良い
その分のお金をくれると聞いて助かるとさえ思った
だけど
それはきっと単なる
指輪という「もの」じゃなく
「気持ち」でもなくて
覚悟とか、希望のようなものなんじゃないかと今は思う
みんな100%正しいなんてなくて、お互い弱いところもだめなところも
たくさんあって
でも一緒に前に進んでいこうと決め、見えたもろい光を
精一杯背伸びをして形にするというのは、
これからの人生への希望と覚悟のような気がした
お金をもらうよりももっとずっと意味がある事で
きっとそれは、わたしたちを支えてくれるんだろうと思った
その光をなくさないように
今私ができる事をしなければ
ティファニーよりもダイヤモンドよりも輝ける人になれるように
acco